Apr 17, 2015

Airplane Model



若い頃から飛行機大好き野郎ということがあって,売場にも開業当初からミニチュアモデルやら、エアラインバッグを扱っていました。それが年月とともにだんだんエスカレートして「全日空」のビジネスシートから発着ボードパタパタフラップまで買付け、マニアック路線まっしぐらの時代もあったのですが、近頃は、ややコアな物は仕入れを控え、インテリアにも馴染みやすい、エアプレーンモデルを扱っております。
そんな中から、オススメの機体、数機をどうぞごらん下さい。

今回、都内にあるアンジェビュロー2店から。(写真:上野店店内)
Airplane Model
ビュロー エキュート上野店、ビュロー KITTE丸の内店ですが、アンジェ ビュローは書斎をテーマにしたステイショナリーが主な品揃えの店舗で、ややアメリカ色の強いセレクトをしています。筆記具でしたらパーカー、シェーファーなどのブランドを多目に選んで扱っているようなイメージです。
そのような雰囲気でのインテリアとしてのエアラインモデルは、第一にパンナムで、あとはブラニフ、ピードモントなどを主力機としています。機体は787などの最新機ではなく、懐かしめのボーイング707や727、DC-7、DC-10など。と言うことで、今はもうなきエアライン社やクラッシックな機体を主に、ほぼ自分の趣味のみで選ばせてもらっています。

DC-7 PANAM
DC-7 PANAM
4つのプロペラにパンナムのレトロなデザインが施された機体です。大人の書斎のムードを醸します。こちらのモデル、今在庫余裕ありです。32,000円+税


ボーイング707 VC137 Air Force One / アメリカ大統領専用機。
VC137 Air Force One
B707は1950年代から30年以上製造され続けたベストセラー機で、旅客機がプロペラ機からジェット機に移り行く黎明期の代表的な機体です。写真にも見える垂直尾翼から前方にすっと伸びるアンテナが707の特徴で、かっこよさのポイントです。
このエアフォースワンの機体デザインは、世界一美しいバードデザインと言われるタバコの「PEACE」や、洋菓子の不二家のマークのデザインなどでも馴染み深い工業デザイナー、レイモンド・ローウィが担当したものです。11,000円+税(現在丸の内店のみで取り扱い。)


YS-11 PIEDMONT
YS-11 PIEDMONT
日本が世界に誇る国産飛行機、YS-11は、1960年代~70年代まで製造され、世界各国に輸出されました。現在は自衛隊や海外にて現役使用されています。
ピードモント航空は、1950年頃から80年代まで存在したアメリカの大手航空会社でしたが、今はUSエア傘下となっています。このエアラインは、当時の機体デザイン、ロゴやマークがかっこ良く、パンナムと並んでお気に入りセレクトしています。このワイエスジュウイチとピードモントの組合せは、大のお気に入りで、じーっと長時間見ていても飽きません・・・
そして、この写真のプレーンモデルは年に一機あるかな、、と言うレアモデルなのです。34,000円+税(現在上野店のみで取り扱い。)


KITTE丸の内店の窓から。
東京駅に出入りする電車パノラマとプレーンモデル。
Airplane Model


経年変化とカスタマイズ性が楽しいトラベーラーズノートの限定パンナムシリーズとの組合せもあり。
Airplane Model


ビュロー店以外の他店では欧州エアラインモデルが主です。
そちらはまたの機会に・・!

Apr 1, 2015

川端康成 / 古都

今回は文庫本のご紹介です。

「古都」は、よく学生時代に読まれる本というイメージもあるのですが、自分は最近読みました。
おおまかなあらすじは、京都の山間、北山杉の村に双子の姉妹が生まれ、ひとりはその生家で育てられ、ひとりは捨て子として室町の裕福な商家に引き取られます。
田舎暮らしの質素な苗子と、美しく端正に育った捨て子の千重子は、互いの存在を知らぬまま成長しますが、二十歳となった祇園祭りで二人が出会います。昭和の京都を舞台に、姉妹の切ない物語が、春に始まる四季折々の祭りや風物の情景を背景にしながら繰り広げられる小説です。


この本を、手にしたきっかけは、なにかの書評で春の表現がとても美しく書かれていたのが気になったことからでした。そのあたりを少しつらつらと。


第1章は春です。ー部以下引用。
ー もみじの古木の幹に、すみれの花がひらいたのを、千重子は見つけた。「ああ、今年も咲いた。」と、千重子は春のやさしさに出会った。ー

曲がりくねった老木の、千重子の背たけほどのところに、1尺ほど離れて2株のすみれが毎年咲くようです。何度読んでも、美しく、ほの悲しい、春との再会を感じる書き出しではじまります。

ー「上のすみれと下のすみれとは、会うことがあるのかしら。おたがいに知っているのかしら。」 ー

2株のすみれ、うねった老木の幹が、姉妹のおかれた境遇に比喩されていると思いますが、この小説を読み返す時、姉妹の切ない運命が心に染み入るところです。

そんな、花ぐもりぎみのやわらかい春の日からはじまります。



夏、秋、冬のはんなりした情景が、ページを繰るごとに浮かび、物語は進みます。
また、全編にわたっての京都弁がいっそう古都を盛り上げるのですが、川端康成氏は,あとがきの中で、京都の人に頼んで言葉を直してもらったと書かれています。

ー「そんなとこで、よう咲いとおくれやしたな」ー
ー「今の親が可愛がってくれはるし、もうさがす気はあらしまへん。
うみの親は、仇野のあたりの無縁仏のうちにでもおいやすやろか。あの石はみな古うおすけれど、、、。」ー

ゆっくり読みますと、遠い子供の頃に聞いた、親戚のおばちゃんたちのイントネーションが思い出され、「いややわあ、よういわんわあ」などの、にぎやかなおしゃべり場面が目に浮かびます。



まだ京都の慣習、言葉などが色濃くあった昭和30年代の四季折々の名所や風物、そして,京ことば。はんなりな文庫片手に、春の京都散策など、いかがどすか。。。

お求めはお近くの書店にて、新潮文庫の棚にあります。